株式会社マッシュホールディングス 管理本部人事部 人材開発課/半田さん、折田さん
2025年4月、マッシュグループには過去最多となる新卒250名が入社。今後も全国各地で新店舗のオープンが予定されており、採用活動も更なる拡大が予定されています。
今回は、マッシュスタイルラボの人事を担う半田さんと折田さんに「採用活動拡大の背景と今後の展望」についてお話を伺いました。
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半田:この1年間で新規出店が30店舗を超えており、今後も毎年同じペースでの出店が見込まれています。1店舗あたりに必要な人員は平均4名ほどなので、単純計算でも120名以上の人材が必要になります。従業員全体も毎年10%以上のペースで増加しており、こうした組織の成長に合わせて採用枠も拡大している状況です。
編集部:出店拡大の背景には、どんな戦略や変化があるのでしょうか?
半田:出店の拡大には、大きく2つの側面があります。
1つ目は、これまで1~2店舗でチャレンジしてきたブランドが成長し、より大きなマーケットに進出していくフェーズに入ったこと。
もう1つは、既存のファッションブランドを代表するSNIDEL(スナイデル)はビューティーブランドやルームウェアブランドを立ち上げ、gelato pique(ジェラート ピケ)はベビー&キッズやキャット&ドッグのラインを本格的に始動するなど、いずれも新たなカテゴリーに事業領域を拡大していることが挙げられます。
特に、新宿・渋谷・池袋といった主要都市での出店が増えており、お客様のニーズに即して店舗網を拡げています。ブランドの進化とともに、新たなマーケットへの挑戦が出店拡大の背景にあります。
折田:そうですね。これからも続々と新規ブランドや新たな業態の発表が控えています。直近の動きを挙げると、SORIN(ソリン)というウサギオンラインで育ってきたブランドは、お客様からの支持が高まってきたことを受けてリアル店舗がオープンしました。
そのほかにも、MIESROHE(ミースロエ)などの 既存ブランドも、ブランドとしての裾野が広がってきており、これまでは限定的だった展開から、表参道や新宿といったメインマーケットでの出店にチャレンジしようとしています。
さらに、GELATO PIQUE KIDS & BABY(ジェラート ピケ キッズ&ベビー)やJAMIE KAY(ジェイミー ケイ)といったキッズ&ベビーカテゴリーも、グループの主要な軸の1つとして店舗展開が進んでいます。
編集部:こうした展開には、顧客のライフステージの変化も関係しているのでしょうか?
半田:もちろんライフステージの変化は意識していますが、より大きな背景として、各ブランド自体が成長し、知的財産(IP)としての価値を持つようになってきたことも大きいです。
折田:たとえばジェラート ピケはアパレルという枠にとどまらず、お客様との関係性=エンゲージメントが非常に強くなっています。ライフスタイルそのものを提案できるようになってきたからこそ、「もっとブランドと関わりたい」というお客様の声に応える形で進化しているという実感がありますね。
半田:スナイデルも同様で、SNIDEL BEAUTY(スナイデル ビューティ)やSNIDEL HOME(スナイデル ホーム)といった新しいカテゴリーに挑戦し、ブランドの世界観や価値観を広げています。
ルミネ新宿での展開が顧客様から支持を得たことが礎となり、SNIDELの成長はもちろん他ブランドにおいても「もっと新たな領域に挑戦できるのでは」という手ごたえと新たな挑戦につながっています。
半田:まず、初任給については、ここ数年、毎年引き上げを実施しています。採用時の時給もマーケットの変化に応じて、業界平均を参照しながら毎年ベースアップを行っています。
また、環境面の例を挙げると、産休・育休など女性のライフステージに合わせた制度を以前から整えてきました。育児時短勤務の適応期間なども見直しを重ねながら、福利厚生面は毎年改善を図っています。
社員の年齢も徐々に上がってきているので、それに応じた新たな制度を段階的に追加・見直しを進めている状況です。福利厚生は「一度整えたら終わり」ではなく、常にアップデートしていくことが前提。誰もが長く安心して働ける環境づくりを目指しています。
折田:教育や評価の制度も、この数年で大きく見直しを進めています。これまではブランドごとに運用方針が分かれていたため、評価基準にばらつきがありました。
そこで昨年からは、マッシュグループ全体で共通する評価軸・人事制度を整備し始めました。
ブランドごとの特性を尊重しつつも、「マッシュとしての共通ルール」を設けることで、より安心感を持って働ける環境を整えています。
半田:たとえば、これまで面談や評価が十分に行えていなかった店舗についても、店長教育を通じて制度の浸透を図るなど、企業としての土台を強化していくフェーズに入ったという実感があります。ベンチャースピリッツのような企業風土は残しながらも、より組織としての信頼性や持続性を高めていくことを目指しています。
半田:はい、しっかりと共有しています。特に大きく変えた点が、評価の基準を“売上中心”から“多面的な視点”にシフトしたことです。これまでの「お店の売上」だけでなく、今は「いいお店とは何か?」を具体的に定義して評価するようにしています。
具体的には、「きれいな売り場づくりができているか」「顧客づくりができているか」「オペレーション(業務運営)が整っているか」「ECやSNSでの発信力があるか」といったチェック項目を設けて、評価の基準としています。
この基準をもとに、店長とエリアマネージャーがしっかり会話しながら、お店全体の成長を見ていくのが“固定評価”です。
折田:もう一つの柱が、「理念評価」です。これは、「マッシュの5つの行動理念」をどれだけ実践できているかを評価の基準にするものです。これは「チームで働く姿勢があるか」といった、数値化できないけれど“マッシュらしさ”を支えている部分をしっかりと見ています。この“理念評価”と“固定評価”の2本柱で、制度としての軸を整えてきました。
半田:以前は、どうしても「売れる店舗」「目立つ活躍」が評価されやすく、地道に頑張るスタッフに目が届きにくい状況もありました。でも今はこの2つの評価軸(固定評価 × 理念評価)を通じて、全国各地の“良いお店”や“信頼されるスタッフ”にも光が当たるようになってきたと感じています。
一人ひとりが納得感を持って働けるように。これからも現場と対話を続けながら、よりフェアであたたかみのある評価制度を育てていきたいと思っています。
株式会社マッシュホールディングス 人事部 半田さん/株式会社マッシュスタイルラボ レディス営業本部 営業4部 部長 田中さん
株式会社マッシュホールディングス 人事部 半田さん/株式会社マッシュスタイルラボ レディス営業本部 営業4部 部長 田中さん
半田:これまでのインタビューでも何度かお話ししていますが、やはり一番活躍されているのは「素直な方」だと感じています。マッシュに入社される方の多くは、実はアパレル未経験。だからこそ、素直に学べる姿勢がある方は、成長スピードが早いんです。
実際に店長になっていたり、メディアに出たりと活躍している姿を見ると、「あっ、こんなに成長しているんだ!」と、私たちも嬉しくなりますよね。
折田:それ、すごく分かります!私たちも、「あの時の面接の方が、今こんなに活躍しているんだ!」と驚くこともありますね。
半田:加えて、「マッシュっぽい雰囲気があるな」「店舗でスタッフからもお客様からも可愛がられそうだな」と思う方は、やっぱり現場で輝いています。第一印象の雰囲気や笑顔って、とても大事なんです。
折田:店舗に立つ仕事だからこそ、「笑顔の素敵な方」「親しみやすい雰囲気のある方」は活躍しやすいと思いますね。
編集部:人事部長の秋山さんには、マッシュスタイルラボが考える「未来の販売員」について、「空港のグランドスタッフ、保育士、病院受付、飲食業界など他業種からの採用に重きを置いたことにより、これまでの経験を活かした接客を行う店舗スタッフが増え、お客様へ提案する幅が広がった」と話されていました。こうした、“異業種からの正社員採用”は今後も積極的に行っていかれますか?
折田:はい。マッシュスタイルラボの店舗では、未経験からアパレルの仕事に挑戦しているスタッフが大多数を占めています。アパレルって、なんとなく「経験がないと応募しにくい」「センスがないと難しそう」と感じられがちですよね。でもマッシュは、どなたでも挑戦しやすい環境が整っていると日々感じています。応募のしやすさは、私たちの強みのひとつです。
半田:私たちの接客の根底には「お客様に楽しんでいただきたい」という価値観があります。だからこそ、売上やノルマを重視しすぎるのではなく、“会話を通じてお客様の気持ちに寄り添う”という姿勢を大切にしています。
実際に他社で販売経験のある方が入社されたときに、もっと売らなくていいんですか?もっと販売して!と言われると思っていた」と驚かれたこともあります。でも私たちは“売ること”より“お客様に喜んでもらうこと”を評価している文化があると伝えると、皆さんホッとされるんです。
そういう反応をいただくと、他社での経験がある方ほど、マッシュの接客スタイルの面白さや独自性に気づいてくれるのだなと感じます。
折田:マッシュでは個人の販売ノルマを設けていません。ブランドごとの売上目標はありますが、それはあくまでチームで達成していくスタイルです。だからこそ、自分のペースで、お客様に向き合いながら、自分らしい接客を楽しんでいるスタッフが多いんです。
半田:接客のルールも、必要以上に細かく決めていません。お客様が何を求めているのかを感じ取りながら、その場に応じて、自分なりの提案で応える。そんな接客スタイルが自然と根付いています。異業種からの転職でも、「人と話すことがすき」「誰かの役に立ちたい」という気持ちがあれば、十分に活躍できる環境が整っていると思います。
編集部:異業種から転職されたSNIDELルミネ有楽町店の本田さんや福岡パルコ店の石井さんは、アパレル未経験で入社後、現在は店長として活躍されています。「未経験でもしっかり活躍できる場が用意されている」と感じたのが印象的でした。
SNIDELルミネ北千住店 店長/本田さん
SNIDEL福岡パルコ店 店長/石井さん
半田:はい、まさにおふたりのように、未経験からでも店長としてキャリアアップするケースは多いです。マッシュは、チャレンジできる機会が多い会社だと自負しています。「店長になりたい」「マネジメントに挑戦したい」という意思がある方には、積極的にチャンスを渡すようにしています。
もちろん、すべての条件やスキルが最初から揃っている必要はありません。大事なのは、その人の可能性を信じて、挑戦の機会をつくること。そして、その挑戦を支える風土があること。
周りの先輩やエリアマネージャーがしっかりフォローしながら、少しずつ店長としての考え方や動きを身につけていく、そんな成長プロセスを大切にしています。
スタッフ一人ひとりの意思を尊重し、任せて育てる。
それが、マッシュスタイルラボの“人を育てる文化”です。
編集部:以前インタビューした駒田さんは、「学生時代のジェラート ピケでのアルバイト経験が忘れられずに新卒入社をした」と話されていました。“学生アルバイトの採用”についても正社員採用と同様に強化されていくのでしょうか?
gelato piqueルミネ新宿2店 駒田さん
レディス営業本部 営業推進部トレーニング課 主任/椛澤さん
半田:はい。採用拡大に向けて、学生アルバイトの募集も積極的に進めています。受け入れるブランドの幅も広げていく予定です。
学生さんは、社員とは異なる視点やアイデアを持っていて、とても新鮮なんです。各ブランドに新しい風を吹き込む存在として、ぜひ力を貸していただきたいです。
折田:学生アルバイトが加わることで、先輩スタッフにも良い影響があると感じています。後輩からの意見を受けて新しい発想が生まれたり、先輩としての自覚が芽生えたりと、お互いにとっての良い刺激になっていますね。
半田:もちろん学生にとっては、学業との両立が前提になるので、店長がシフトを調整するなど、無理のない働き方ができる体制を整えています。たとえば、「週に1〜3回だけ」「夕方の数時間だけ」など、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
実際に、「楽しみながら働ける環境」を実感している学生さんが多いです。
折田:スタッフ同士の仲も良いので、自然と「助け合う文化」が根づいています。だからこそ、学生でも居心地よく、長く働けるんだと思います。
編集部:駒田さんのように、学生アルバイトから新卒入社につながるケースも今後さらに増やしていく方針でしょうか?
半田:はい。実際に学生アルバイトから新卒入社して活躍している社員はたくさんいます。今後も、“アルバイトから就職”という自然なキャリアの流れをもっと広げていきたいと考えています。
折田:学生アルバイトは、いわば“インターン”のような存在と捉えています。
現場で接客を体験し、マッシュの価値観や接客を理解したうえで入社してくれるので、入社後の成長もスムーズなんです。
半田:学生のうちに「マッシュの販売って楽しい」と感じてくれていれば、就職活動で無理に迷うより“このままここで働きたい”という選択肢が生まれる。そんな“自然な就職のかたち”があってもいいと私たちは思っています。
編集部:では、アルバイト経験者が「新卒で入社したい」と希望すれば、選考に進むことも可能なのでしょうか?
半田:はい。実際に、店舗の店長から推薦がある学生さんであれば、早い段階で内定をお出しすることもあります。
実際に働く中でその方の人柄や姿勢が見えているからこそ、企業側としても安心して早期選考ができる。それは学生さんにとっても大きなメリットだと思います。
編集部:3歳のお子さんと第二子を授かりながら働くemmi(エミ)ルミネ有楽町店の高野さんは「ママになっても楽しく働けて、ママの経験も活かせる」と話してくれました。“主婦ママの採用”について、どのようにお考えですか?
折田:もちろん、主婦やママの方も大歓迎です。実際に多くのママスタッフが店舗で活躍していて、その姿はとても頼もしいです。
半田:今後キッズ&ベビーブランドの展開も広げているので、子育て経験がある方の視点や感性は、ブランドにとっても大きな力になります。
たとえば、ジェイミーケイの採用では、「ママであること」や「子ども服売り場での接客経験」を歓迎条件として募集したこともあります。ものづくりの現場でも店舗でも、リアルな子育ての経験が活かされている事例は非常に多い印象です。
折田:最近では、保育士経験のある方や子どもと関わる仕事をしていた方からの応募も増えています。アパレル未経験でも、「子どもと接する力」や「親としてのリアルな知識」は、自然と接客に活きていると感じます。
半田:たとえば、子ども服でよく使われる「80サイズ」や「90サイズ」がどの年齢に合うか、すぐにイメージできるのはママならではですし、そうした細かな知識が、お客様への信頼にもつながると感じています。
折田:配属先も、面接時にご本人の希望やご家庭の状況をしっかり伺ったうえで決定しているので、無理のない範囲で働いていただけます。
半田:マッシュには助け合いの文化が根づいているので、困ったときはフォローし合える体制が整っています。チームで支え合いながら働ける職場だからこそ、ママスタッフも安心して活躍できているのだと思います。
編集部:岡山の店舗でSNIDEL、LILY BROWN、Mila Owenなどの複数ブランドを経験し、現在は大阪のMila Owenで店長として活躍されている秋山さんには「地方で働くやりがいとキャリア」についてお話を伺いました。“地方店舗での採用やキャリア形成について、どのようにお考えですか?
半田:もちろん地元で働きたいという方も大歓迎です。配属先は原則として、本人の希望やライフスタイルをしっかりヒアリングしたうえで決定しています。
たとえば、「実家の近くで働きたい」「Uターンで地元に戻って働きたい」など、さまざまな事情や想いに寄り添った形で、無理なく長く働ける環境を用意することを大切にしています。
折田:実際に、東京で働いたあと、今は地方の店舗で活躍しているスタッフもいます。本人の意思を大切にしながら、できる限りその希望に応えることを大事にしています。
地方の店舗でも、SNIDELやgelato pique、LILY BROWNなど確実にファンを増やしています。地域に密着した接客スタイルを大切にしながらも、ブランドの世界観やトレンド発信を担う重要な拠点として、成長やキャリアアップのチャンスもしっかりある環境です。
たとえば、岡山で複数ブランドを経験したのち、現在は大阪で店長として活躍している秋山さんのように、一人ひとりが自分のペースで、ブランドと共に成長していける柔軟なキャリアパスもマッシュスタイルラボの魅力です。
編集後記
新卒、中途、学生、主婦・ママ、そして地方在住の方まで。
マッシュスタイルラボには、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、それぞれのスタイルで輝ける環境が、着実に広がっていました。
ブランドの進化とともに、出店も採用もスピード感が増すなかで、何よりも印象的だったのは、「一人ひとりの人生に寄り添い、共にキャリアを描いていく」という想いに、企業として真摯に向き合っている姿勢でした。
そこには、ただ人を集めるのではなく、人とブランドの未来を一緒に育てていこうとする強い意志が息づいています。
マッシュスタイルラボの挑戦は、今まさに、次のステージへ。
「自分らしいキャリアを描いてみたい!」という方にとって、きっとここがその第一歩になるはずです。