アパレルで働く人なら、「服が売れない」という悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?おそらく一度は陥ったことがあるスランプだと思います。アパレル店員個人の問題、もしくは店として企業としての問題も潜んでいる可能性があります。まずは、その原因を正しく把握することから始めましょう。
今回は、アパレルで服が売れない原因や、売れる店の特徴をご紹介します。
活気がない店だと、「この店で買い物をしたい」という気持ちにならないため、お客様はどんどん離れていってしまいます。暗い雰囲気の店やBGMがなく静かな店、またアパレル店員の覇気が感じられない店は、売れない店の典型的な例です。
ラグジュアリーブランドのような高級感を売りにしている店では、落ち着いた雰囲気の方が好まれますが、ショッピングセンターやファッションビルにあるアパレルショップの場合は、元気で活気がある店の方が印象が良いでしょう。
いくら商品が良くてもアパレル店員の態度が悪ければ、売上にはつながりません。アパレル店員が無愛想だったり接客態度が悪いと、お客様が来店することは二度とないでしょう。
店頭に立つ以上、笑顔で愛想よく対応することが基本です。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」といった、基本的な接客用語はお客様の目を見て伝える必要があります。
また、姿勢や立ち居振る舞いにも気を付けなくてはいけません。お客様にだらしない印象を
与えてしまうと、その店だけでなくブランドイメージの低下にもつながるため、常に見られている意識を持つことが大切です。
アパレル店員の関係性は、その店の雰囲気にも影響します。売上が悪いとどうしても雰囲気が悪くなり、ギスギスした空気になりがち。そうすると、その雰囲気がお客様にも伝わることで、居心地が悪いと感じ、すぐに店を出て行ってしまう可能性が高いでしょう。
反対に、仲が良いからといって勤務中もおしゃべりをしているのもNG。アパレル店員同士がおしゃべりに夢中になっていると、お客様は疎外感を感じ、入りにくいと受け取ってしまいます。勤務中の私語は慎み、程よいコミュニケーションを取る程度が理想です。
アパレルショップは、それぞれにブランドコンセプトやテーマがあり、それらに基づいてレイアウトやディスプレイを展開しています。これらの統一感がなかったり独自性がない店は、他のアパレルショップとの差別化を図ることができないため、ブランドの撤退に追い込まれることが多いでしょう。
そのためには、ブランドコンセプトを正しく把握し、それを反映させることがポイントです。レイアウトを工夫したり、お客様の興味を引くディスプレイが求められます。また、照明や店内のBGM、什器の配置やお客様の導線なども考慮して、売れる売場作りを目指す必要があるでしょう。
店の立地が悪かったり、客層にマッチしていない店は、いくらアパレル店員が頑張っても無意味な場合もあります。人口が少ない地方や、商業施設の中でも人通りが少ない場所は、立地環境が悪く、どうしても売上を伸ばすことが難しくなります。
また、30〜40代が多い場所に10代向けのアパレルブランドを出店しても、需要はありません。10代を呼び込めるほどの集客テクニックや、なにかしらの手段があれば別ですが、そこまでのリスクを背負って営業を続けるくらいなら、確実に需要が見込めるエリアや場所に出店をした方がいいでしょう。
店内が明るい雰囲気だと、お客様は「入ってみたい」という気持ちになります。売上を伸ばすためには、まず入店率を上げる必要があるため、お客様が入りやすい雰囲気作りを目指すことがポイントです。
お客様が来店されたら、作業の途中でも一旦手を止めて、笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけましょう。一人のスタッフが言ったら、他のスタッフも声を出すことにより、活気が出ます。
入店して店内を見ているお客様には、「手にとってごらんくださいね」「こちら本日入荷した新商品です」などのファーストアプローチを行い、お客様を笑顔で迎え入れる姿勢が大切です。
売上やノルマを気にするあまり、押し売りのような強引な接客をするアパレル店員もいますが、それは逆効果です。その時は購入してくれたとしても、お客様は「無理やり買わされた」という印象を抱いてしまいます。そうすると、お客様にマイナスイメージを植えつけてしまうため、その店やブランドのリピーターになることはないでしょう。
もちろん服を売る仕事なので、売上を意識した接客をしなくてはいけませんが、お客様の求めることを正しく理解し、一人一人に合った接客をする必要があります。押し売りではなく、商品やコーディネートの提案を行い、自然な流れで購入につながるための接客トークを
磨くようにしましょう。
清潔感がある店内だと、お客様は気持ちよく買い物をすることができます。そのためには、営業前に店内の掃除をして、きれいな状態でお客様を迎える準備をします。
営業中は接客優先ですが、お客様のいない時に服をたたみ直したり陳列を整えたり、常に整理整頓された状態を心がけることが大切です。
接客業である以上、清潔感を意識した売場作りを意識しましょう。
アパレル店員の接客スキルが高い店は、お客様からの信頼が厚く、お客様も定着しやすい傾向にあります。接客スキルを磨くためには、商品知識を身につけたり、お客様の顔や特徴を覚えること、また提案力やコミュニケーション能力も必要になります。個々の接客スキルが向上すれば、店やブランドの印象も良くなり、「オンラインショップでも買えるけどあの店員さんから服を買いたい」というお客様が増えるでしょう。
また、サービスの質が良い店も人気店の特徴です。ポイントカードやアプリの提示で割引サービスを受けられるなど、付加価値によるお得感を打ち出すことも重要になります。キャンペーンやノベルティなどのサービスを積極的に行い、お客様を飽きさせない工夫が必要になるでしょう。
アパレル店員の努力以外にも、アパレル企業の取り組みも大きく関わってきます。いくら安くても商品の品質が悪ければ、リピーターを獲得することはできず、競合他社に負けてしまいます。「高品質なのに低価格」が現代のアパレル業界の傾向のため、目が肥えたお客様に満足していただけるような、上質な商品の提供と適正な価格設定が重要になります。
最近はSNSで情報を拡散できる時代のため、少しでも悪い評判が広まってしまうと、一気に売上は減少し、ブランドイメージの低下を招きます。アパレル業界で生き残るためには、質の良い商品を提供することや、企業努力も必要になるでしょう。
売れない時は何かしらの原因があるはずです。まずは、その原因を洗い出すことが必要になります。
ブランドのコンセプトや方針、商品のデザインや価格、立地環境などは、アパレル店員の立場ではどうすることもできないため、店で働く立場として改善できる取り組みを考えることが大切です。
店としての弱点や怠っていることがあれば、まずはそのことをスタッフ全員で共有して受け止め、改善点を考えてみましょう。
商品が売れない原因は、スタッフ間の連携が取れていない可能性があります。アパレル店員は接客以外にも、商品の発注や品出し、バックヤード業務などもあり、それぞれの業務をスタッフで分担して行う必要があります。
これらがきっちり分担できていなかったり、スタッフ同士で連携が取れていないと、接客に支障が出てしまい、結果的に売れない店へとなっていってしまうのです。
アパレル業界では閑散期と呼ばれる時期があります。一般的には2月と8月が閑散期とされており、この時期は客数が減ったり売上が伸びないことが特徴です。閑散期は仕方がない部分もありますが、集客につながる行動をする努力も必要です。
最近はSNSを使って集客をすることができる時代のため、スタッフのコーディネート写真を毎日アップしたり、ライブ配信で新作の紹介をしたり、またキャンペーンや会員限定のサービスを行うのも効果的でしょう。
商品が売れない時は、接客を見直すことも大切です。「笑顔で接客できているか」「声のトーンは適切か」「押し売りになっていないか」「お客様のニーズに合った接客をしているか」など、自分の接客を細かく分析してみましょう。もし自分でわからなければ、他のスタッフに客観的な意見を教えてもらうのもいいかもしれません。
また、店としての接客スキルを向上させるために、定期的にミーティングを開いたり、意見を出し合える環境を作ることも必要です。慣れてくるとどうしても自己流の接客になったり、自分の楽な接客をしがちなので、常に初心を忘れずに向上心を持つようにしましょう。
服が売れない悩みを抱えるアパレル店員は多いと思います。自分の力だけではどうにもならないこともありますが、まずは接客を見直したり、売れない原因をしっかり受け止めるようにしましょう。売れるアパレル店員は、日頃から改善できる部分を見つけ、すぐに対応する行動力や柔軟さがあります。
個人や店全体でブラッシュアップしていくことが、売れる店になる近道です。ポジティブに考えて、仕事に取り組むようにしましょう。