アパレル業界には、閑散期があるということをご存知ですか?閑散期とはその名の通り、閑散とした期間、つまり客数や売り上げが伸びない状態のことを意味しますが、アパレル業界はいつが閑散期になるのでしょうか。また、閑散期の仕事内容や売り上げを伸ばすための工夫も知りたいところ。
今回は、そんなアパレル業界の閑散期について解説したいと思います。
「閑散期」とは、来客が少なく暇な時期を指します。反対に、客数が多くて忙しくなる時期のことを「繁忙期」と呼びます。
閑散期は業種によっても異なりますが、売り上げが伸びず、モチベーションも上がりにくいため、仕事への意欲が低下しやすい時期といえます。閑散期だからこそできる取り組みや、忙しい時にはできない業務を行うなど、働き方を柔軟に対応する必要があるでしょう。
1月は、アパレル業界が最も活気があり売り上げが伸びる時期です。お正月の福袋や初売り、セールなど、イベントが盛りだくさんなので、非常に忙しくなります。
お客様の接客をしなくても商品が売れる時期なので、在庫の確保や業務の効率化を図ることが大切になるでしょう。
2月は、アパレル業界では閑散期とされる時期。1月のセール後ということもあり、2月は客数が減少してしまいます。
ただ、春物が入荷するタイミングでもあるため、春を感じられるコーディネートを考えたり、冬から春に移行する今の時期にできるファッションの提案をすることが、売り上げを伸ばすポイントです。
3月になると、春物の動向が活発になる時期なので、スプリングコートやカーディガンなどが売れるようになります。
また、新生活に向けての準備を行う人も増えるため、ジャケットやスーツ、シャツやパンツなどのオフィス向けのアイテムを積極的に打ち出すブランドも多くなります。
4月は、新生活がスタートしたりライフイベントがある時期のため、20代向けのアパレルブランドや、オフィスカジュアル向けの商品を取り扱うブランドは忙しくなります。
洋服以外にも、靴やバッグ、アクセサリーなどの小物も一緒に購入する人が多いため、セット販売に力を入れることが、客単価アップにつながるでしょう。
ゴールデンウィークがある5月は、連休の期間は非常に混雑します。ゴールデンウィーク期間中は、ポイントアップやノベルティの配布などのイベントを開催することも多いため、柔軟に対応する必要があります。
5月は気温が上昇してくる時期なので、その日の気温や天気に応じて、打ち出す商品を考えることも大切です。
6月は、梅雨で雨が多くなるため客数は減る傾向にあります。また、7月にセールが始まるため、買い控えをする人も多く、アパレル業界では閑散期となる時期です。
本格的なセールを前に、顧客に向けてプレセールを行なったり、会員限定のサービスを行うブランドも多く、集客するための取り組みが必要になるでしょう。
7月は、アパレル業界では夏のセールが開催される時期です。非常に忙しくなる時期のため、販売員は気合いで乗り切らないといけないくらい、お客様の接客や対応に追われます。
特に土日はスタッフ総出で出勤したり、本社や他店からヘルプで入ってもらったりと、働く人数を増やして対応するブランドも多いでしょう。
営業中にタイムセールを行う場合は、呼び込みを行なって、集客を促す取り組みも必要になります。
セールが落ち着く8月は、客数も減ってくる時期になります。ブランドによっては、ファイナルセールを開催し、再値下げをして商品を売りさばく場合もあります。
閑散期とされる時期ですが、夏休みやお盆休みがあるため、忙しい店舗や期間もあるでしょう。
9月は、秋物が入荷する時期なので、新作をチェックしにくるお客様も多くなります。ただ、近年は9月でも暑い日が多く、なかなか秋物が売れないのが現状です。
そのため、気温の変化に対応できるカーディガンや、秋を感じられるカラーを打ち出すなど、提案の仕方を工夫する必要があります。
10月になると、本格的に秋物の動向が増える時期になるため、積極的に打ち出す必要があります。カーディガンやニットなど、肌寒い日に着ることができるアイテムも売れ始めるでしょう。
11月は、冬物のコートが店頭に並び始める時期です。気温も下がって羽織りが欲しくなる日も多くなるため、天気やお客様のニーズに合わせて、レイアウトやコーディネートを考える必要があります。
コートは高額アイテムになるため、売り上げに大きく影響します。もしその時に購入に至らなくても、次回の来店につながる場合もあるため、丁寧な接客を心がけましょう。
12月は、プレセールが開催されるブランドも多く、また本格的に冬に突入する時期なので、ニットやアウターがよく売れます。ボーナスやクリスマスなどのイベントも多いため、忙しくなるでしょう。
年末は福袋や初売りの準備、営業時間の短縮など、限られた時間で多くの業務をこなさなくてはいけないため、接客以外でも忙しくなる時期です。
一般的に、2月と8月の「ニッパチ」が、閑散期といわれています。アパレル業界では、2月・6月・9月・10月が閑散期になることが多く、どの時期もセール前の買い控えや、出費を抑えたい時期に該当することが客数や売り上げが減少する要因です。
天候にも左右されやすいアパレル業界は、雨の日が多い梅雨の時期や、残暑が厳しい
9〜10月頃も売上が伸び悩んでしまいます。特に秋物は、着るタイミングがないまま冬に突入してしまう場合も多く、販売方法を工夫しないとなかなか売れないのが現状です。
シフトに入る日数は、店舗の状況によっても異なりますが、暇になるからといって大幅にシフトを減らされることはないようです。売り上げが極端に落ち込んだり、客数が少ない平日はシフトを削られることもありますが、基本的には普段と変わらないシフトを組まれることが多いでしょう。
ただ、閑散期は有給を取ったり、休み申請を行いやすいタイミング。旅行の計画を立てたり、連休を取りたい場合は、閑散期を狙って休みを取るのがおすすめです。
閑散期だとしても、基本的にアパレル販売員の主な仕事は接客です。来店されたお客様に接客をして商品を販売するのが仕事のため、客数は少なくても接客第一であることには変わりありません。
ただ、暇な時間帯も多い分、普段できない業務を行うことができます。例えば、バックヤードの整理や掃除を行なったり、店内の清掃やレイアウト変更なども閑散期に取り組みやすい業務です。また、POPの作成や値札貼り、SNSの更新などの販促につながる業務も、閑散期に行いやすいでしょう。
そのほかには、閑散期の余裕がある時期に新人スタッフの面接や採用を行い、業務のレクチャーを行うブランドもあります。
閑散期に給与が減ることは、ほぼありません。客数が減ったとしても、労働時間が変わらなければ給与も同じ額を支給されるため、「閑散期だから給与が減る」といった心配はしなくても良いでしょう。
閑散期に給与が減ることはありませんが、繁忙期のような忙しい時期には手当が支給されて、給与が上がるケースはあります。
「閑散期になるとノルマがなくなる」ということはなく、客数が少ない中でも売り上げを伸ばすための工夫や努力が求められます。
アパレル販売員に調査したアンケート結果によると、「閑散期と普段とでノルマは変わったか」という質問に対して、「変わらない」が65.8%、「減った」が24.7%、「増えた」が9.6%という回答になりました。
ほとんどが普段と変わらないノルマを求められることがわかると思います。では、アパレル販売員は閑散期のノルマに対して、どのような取り組みをしていたのでしょうか?
閑散期でもノルマが「変わらない」と回答した人の意見には、
という回答があるように、閑散期だからといってノルマを気にしなくていいわけではなく、むしろ厳しい状況の中でも売り上げを伸ばすための方法を模索したり、いつもと変わらない条件の中で働かなければいけない、という苦労があるようです。
一方で、ノルマが「減った」と回答した人の意見には、
など、他の月と比較するとノルマや予算の設定を低くしてはいるものの、売り上げは作らないといけないという厳しさを痛感する人が多いようです。
また、少数ですがノルマが「増えた」と回答した人の意見には、
といった、売り上げが伸び悩むことで個人に課せられるノルマが増えるといったケースも。接客のチャンスを逃すことのないよう、積極的にお客様に声をかけたり接客につく時間を長くするなど、売り上げに貢献できる取り組みをする販売員も多いようです。
閑散期に売り上げが落ちるのは仕方のないことですが、売り上げを伸ばすための工夫は必要になります。ここでは、アパレル販売員が実際に行なっている、閑散期の取り組みをご紹介します。
時間があるときに商品知識や接客の勉強をする
アパレル業界の閑散期には、売り上げが落ち込むことは想定の範囲内ですが、そのような厳しい状況の中でも売り上げを作らなければいけないという、大変さや過酷さがあるようです。
そんな中でも、「客数が少ないからこそできる業務」「時間にゆとりがあるからこそお客様にじっくり向き合って接客をする」「集客アップのための取り組みを試してみる」など、様々な工夫をすることがポイント。
ご紹介したアパレル販売員の方の取り組み方を参考にしつつ、つらい閑散期を乗り越えましょう!