以前よりも、外国人のお客様に接客をする機会が増えたなと感じているアパレル店員も多いのではないでしょうか。2020年の東京オリンピックに向けて、外国人観光客がさらに増える傾向にあり、観光地や百貨店・商業施設では、インバウンド対策を活発に行っています。ここ最近では、対策のひとつとして、英語での接客対応を強化する店もあり、英語を話せる販売員の需要が高まっています。それでは実際に、外国人観光客をどのように接客しているのか、アパレル店員経験者に聞きました。
【アパレル店員経験者69名にアンケート】
1.アパレル店員に英語力は必要?インバウンドとは?
インバウンドとは?
テレビやニュースで「インバウンド」という言葉を聞くことも多いのではないでしょうか。インバウントとは、外国人の訪日旅行の意味で使われることが多く、2020年のオリンピック開催に向けて、訪日外国人客をターゲットにしたビジネスが活発になっています。アパレル業界でも百貨店やファッションビルなどの商業施設で外国人観光客に向けたサービスを拡大し、インバウンド消費を積極的に取り組む傾向にあります。
アパレル店員に英語力は必要?
近年では、外国人観光客をターゲットとしたサービスが各所で見られるようになり、百貨店の免税カウンターの強化や翻訳サービスなど、店で働く販売員が外国人に接客をする機会が増えたと思います。実際に店舗で働くアパレル店員は、英語力を必要と感じているのか。アパレル店員経験者に聞きました。
Q.外国人観光客に接客をしたことはありますか?
Q.外国人観光客はどのぐらいの頻度で来店されますか?
- ほぼ毎日 55.1%
- 週に何名か訪れる 23.2%
- 月に1~2名程度 7.2%
- 3ヶ月に1名程度 2.9%
- ほとんどない 5.7%
- 不明 5.8%
Q.英語で接客できるようになりたいですか?
- なりたい 90.0%
- すでに英会話ができる 10.0%
Q.アパレル店員として今後、英語力は必要だと思いますか?
全体の88%が一度は外国人観光客の接客経験があり、55%のアパレル店員が、ほぼ毎日、接客していることが分かりました。都内や観光地などで働くアパレル店員は、特に外国人観光客を接客する機会が多く、英語での接客に困った経験があるようです。また、89%が英語での接客をできるようになりたいと思っており、98%がアパレル店員として今後、接客するうえで英語力が必要と実感しているようです。
2.外国人観光客の接客方法とは?
それでは実際に、外国人観光客にどのように接客をしているのでしょうか。
Q.外国人観光客の接客について、お店で研修やマニュアルなどサポートはありますか?
◆「ある」の回答詳細
- 翻訳表がある
- 基本的な接客フレーズは、スタッフ同士で共有していた
- 研修があった。分かりやすい単語と表情で表現し、相手に伝わる接客体制を強化していた
- 基本的な接客フレーズが書いてあるマニュアル表があり、接客時に指さしで使っていた
- 英会話シートがあった
- 百貨店では、開店前に館内放送で英語の接客ワードが流れている
- 百貨店からマニュアルやサポートなどが出ている
- 百貨店で英会話の研修があった
Q.外国人観光客の接客はどのようにしていますか?
- 英単語と身振り手振りで対応している 72.5%
- 英会話ができるので問題なく対応している 23.2%
- 日本語で対応している 1.4%
- 英語が話せるスタッフに任せる 1.4%
- その他 1.4%
約90%のアパレル店員が、お店で研修やマニュアルは無いと回答しました。英語を話せないアパレル店員の多くは、知っている英単語とジェスチャーで伝えていることが分かりました。また、スタッフ同士で基本的な接客フレーズをまとめて共有したり、英会話集を作ったりと、仲間と協力しあって、外国人観光客の対応を行っているお店もあるようです。
3.「英語を話せたら良かったな」と思った接客の場面は?
英語力があれば、もっとコミュニケーションが取れたのに・・・。と感じたことのあるアパレル店員も多いのではないでしょうか。実際にどういった場面で、感じたのでしょうか。
Q.英語での接客が必要になった場面を教えてください
- 簡単な受け答えをしたい時 23.3%
- 服のサイズや色、種類などを聞かれた時 16.7%
- 試着の時 16.7%
- 会計の時 13.3%
- はじめの一言などの声掛けしたい時 8.3%
- 免税の案内をする時 5.0%
- なし 5.0%
- コミュニケーションが取れる日常会話 3.3
- その他 8.3%
◆「簡単な受け答えをしたい時」の回答
- 洋服を紹介したい
- 新しい商品を紹介したい
- スタイリングの提案をしたい
★知りたい一言フレーズ
- 「少々お待ち下さい」
- 「かわいい」「お似合いです」などの何気ない一言
- 「お試しできますよ、お持ちしましょうか」
- 「在庫を確認します」
- 「お待たせしました」
- 「こちらでいかがでしょうか」
- 「裾上げなさいますか」
- 「このアイテムに合わせると可愛いです」
- 「何かお探しですか」
【保存版】アパレル店員が知りたい英会話フレーズまとめ
「服のサイズや色、種類など」を聞かれた時の回答
- サイズ表記が日本と海外では違うので、サイズ感の違いの把握と簡単に説明できるようにしておくべきだった。(多数回答)
- 服の素材やカラー展開の説明をしたい時
◆「試着の時」の回答
- 「靴を脱いであがってください」と言いたかった。靴のまま試着室に上がる外国人が多いので。(多数回答)
- 試着室の空室状況を伝えたい時
- 「試着室はあちらです」など、試着を促す一言
- フェイスカバーを使うように促す一言
◆「会計の時」の回答
- 会計の流れを説明したかった
- 「お釣りです」の一言がなかなか言えなかった
- クレジットカードの支払い回数を伝えたい時
- 「返品交換できません」と伝えたい時
◆「はじめの一言などの声掛けしたい時」の回答
- 「何かありましたら、お気軽にお声がけください」
- 「何かお手伝いいたしましょうか」
- 「何かお探しですか」
【保存版】アパレル店員が知りたい英会話フレーズまとめ
英語で返せる簡単な一言フレーズを知っていれば良かった。といった回答が多く、英会話レベルでなくとも、簡単なフレーズだけでも知っておく、メモをしておくなどするだけで、いざという時の強い味方になるようです。回答を参考に、一言フレーズをぜひまとめてみてくださいね。
4.印象的な外国人観光客の接客エピソード
外国人観光客に接客をしていると、普段とは違う、何気ない発見や経験をする機会があると思います。実際に接客をしていて、印象に残っているエピソードを聞きました。
Q.外国人観光客の接客で印象的だったエピソードを教えてください
- 片言な英語でも通じたこと 36.4%
- 会話が盛り上がったこと 16.7%
- 文化の違いから案内などが大変だったこと 16.7%
- お客様から日本語でコミュニケーションをとってくれた 3.0%
- その他 27.3%
◆「はじめの一言などの声掛けしたい時」の回答
- 片言な英語で接客したら「テンキュー」と言ってもらえ、通じて嬉しかった
- 片言な英語で接客したら、日本語で返ってきた
- 自分では失敗したと思った英語が、お客様から褒められたこと
- 身振り手振りでの英語でしたが、購入されて笑顔で帰っていただけた時はすごく嬉しかったです!
- 英語で対応したら感謝された
- 日本語しか話せなくても、笑顏で接客したら海外のお客様も嬉しそうに帰って行かれたのが印象的です。
- 嫌な印象を与えないよう言葉が伝わらなくても、笑顔で対応すると相手も打ち解けてくれた
- 英語は話せないけどジェスチャーでお客様にコーデを選んでいる際に、サイズなどをお聞きし、また、「今日はこの後どこに行くのか、どこからきたのか」を聞いているうちに楽しくて仲良くなりました。そして笑顔で「ありがとう」と言ってもらえて、その3ヶ月後にまたそのお客様が買い物にきてくれて、また接客しました。その時に着ていた服が、以前私がコーディネートした服で、言葉の壁はあるけど、接客は楽しいし、やっていてよかったって思いました
- 言葉は通じなくても、アイコンタクトやジェスチャーなどでコミュニケーションをとることができたりするので接客していて楽しかったです。
◆「会話が盛り上がったこと」のエピソード
- 日本と海外の文化の違いの話で盛り上がりました。一緒に写真を撮るなど、思い出の1ページになれたのも印象的でした。
- 海外(自分の住んでいる国)にはないデザインをとても素敵と言ってくださった時は嬉しかった。
- 店舗の看板やディスプレイの所で一緒に写真撮影をして、ディスプレイやオシャレに気を使っていてよかった。
- 英語を話せるスタッフがいて安心してお買い物ができたと言われ、今後も頑張りたいと思いました。
- 関西の店舗で、「オオキニ、ナンデヤネン」と関西弁を話す外国人が可愛かった。
- 色々試着されて、最後に「あなたの着ている服が可愛い」と言ってくださり、それを購入して頂けたこと
◆「文化の違いから案内などが大変だったこと」のエピソード
- 飲食をしながらご来店されるお客様が多く、断りたいが購入してくれることが多いので言いづらいです(笑)
- 試着室で靴を脱ぐことを知らないお客様が多く、土足で入られてしまいます。
- 靴の試着用の椅子はだいたい休憩スペースになってしまいます。
- クレジットカード支払いの際に、暗証番号ではなくサインをお願いすると嫌な顔をされる
- 英語が聞き取れず、何回か聞き直してしまった
◆「その他」のエピソード
- 自分が着ているアイテムを聞かれることが多いです。
- 試着が終わり、断る時に日本人は「大丈夫です・・・。」と言って返すが、海外の方は「BAD!」とハッキリ言ってくれたので分かりやすくて印象に残った。
- 英語が喋れるので他のスタッフから通訳を頼まれレジに行きました。話を聞くと、免税をしたかったらしく、免税でのお会計をしました。その2日後にまた、買い物に来てくれ、話しをかけてくれました。少し立ち話しをし、最後にそのお客様から「本当に丁寧な対応をしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを頂けて、とてもうれしかったです。
- 英語を話せるスタッフがいない中、1人英語を話せたので一目置かれる存在になれてうれしかった
5.まとめ
アパレル店員経験者の約87%が外国人観光客の接客経験があり、90%が英語での接客ができるようになりたいと回答しました。また、実際に働いているアパレル店員の98%が、今後英語力が必要だと実感していることも分かりました。
しかし、外国人観光客についてのマニュアルや研修などのサポートが整っているのは百貨店ぐらいしかなく、回答者の90%が、研修環境が整っていないと回答し、外国人観光客の対応を充分にできていない店が多いのが現実のようです。整っていない店では、スタッフ同士でマニュアルを作るなどの工夫をしている店もあるようですが、ほとんどのアパレル店員が、知っている英単語と身振り手振りのジェスチャーで接客するなどの努力をしているようです。
また、英語が必要な接客場面では、「簡単な一言フレーズを知っておけばよかった」の回答が多く、英会話ができなくとも、メモやちょっとした知識だけで補えることが多いようです。片言な英語や丁寧な接客でコミュニケーションをとる努力をしたことで、外国人観光客との思い出や貴重な経験をしているアパレル店員も多く、接客の楽しさを改めて感じているようです。
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